令和4年3月13日
「すごく澄んだ味」
みんなの口から出る言葉は同じだった。
私もそう感じた。とても純粋さを感じる味だった。
弱い立場にいる鳥
生き物の世界は残酷だ。【 弱肉強食 】弱いものは強いものに逆らえない。
今回の鳥絞めのために譲っていただいた鳥も、弱い立場の雄鶏だった。いずれ強いものに負けて追いやられてしまうだろう鳥さん、その命を、私たちはいただけることになった。
今回、そんな鳥さんを私たちに譲ってくれたのは、ぐんま里山学校さん。
鳥を自分で絞めて食べるのは、大変だけど、価値のある経験なので、可能な限り協力しますよ。と。群れの抗争の関係でブレてしまっている雄鳥がいるので、それでよければ。と。
本当に、本当に、ありがとうございます。
そうやって私たちのことろに巡ってきた鳥さん、年齢は1才くらいと言っていたかな。
譲ってもらいに行ったときの重さと、鳥絞めの日の朝に持った時の重さが全然違ったんだ。とHちゃんは言っていた。
それは、鳥さんが私たちの命に変わっていくことを受け入れたから、かもしれないな。
鳥絞めの準備が整い話が始まっていくと、ずっと箱の中で静かだった鳥さんが動いて箱がカタカタしたり、箱から出ようとする行為があったり。でも決して、激しく抵抗するようなそんな様子ではなかった。
いざ鳥が箱から出されて、押さえられ、目隠しされるときにも、鳥さんは驚くほど大人しかった。
そして首に刃が入れられた。
そして鳥さんは鶏肉となった。
【煮込んだスープの味】そこに感じた鳥さんの命の純粋さ
鶏肉と骨を数時間煮込んでスープにしたのち、カレーへと調理していく。
鶏肉と骨を煮込んだスープを、その場にいた人で一口ずつ味見してみた。みんなが同じ感想を口にした。
「とても澄んだ味ねぇ。」
弱い立場の鳥、生き残れない立場にいる鳥、
でもきっと、すごく優しい純粋な命だったんだろう。そんな命を分けていただけた氣がした。
そして、「鳥絞めを自分がやる」と決めてまっすぐにそこに向き合ったHちゃんは、自分の指を切った。
私はそこに命のやりとりを感じた。
Hちゃんの心もまた、優しく純粋だった。
【鳥絞め班の3人の想い】鳥を絞める
なかなか想いを合わせていくことができなかった鳥絞め班の3人。傍から見ていても前々日くらいまで心配が尽きない状態だった‥
でも、今日、
3人はそれぞれに自分の想いを、涙したり、震えたりしながらも、しっかりとみんなに伝えていっていた。
そして、それぞれが、真摯に自分の仕事に徹していっていた。
途中、Hちゃんがナタで自分の指を切ってしまうというハプニングが起こるも、奇跡的に参加者の中に外科医のお医者さんがいて看護師さんがいて、素早く手当てをしてもらえる。
一方、鳥絞めの方は、さっとSちゃんがフォローに入る。Tちゃんは鳥を押さえているという役に徹し、鳥さんの命の最期の瞬間をきちんと受け止めていっていた。
そして、解体作業。
Tちゃん中心に、参加者の方も手を貸してくれながら黙々と進められていく。
子どもたちは、その輪の中に入ってくる子はいなかった。でも、この場にいることで、しっかりと鳥絞めを、お母さんたちの想いを、感じ取っていた。
よう君は、ずっときーちゃん宅のウコッケイを抱っこしていた。そのまま病院に行ったお母さん(Hちゃん)のことも心配だっただろうに、でも、ちゃんとこの場で待っていたんだ。
あれだけ気持ちを通い合えなくて苦労していた鳥絞め班の3人が、今日は、それぞれの想いをそれぞれに噛みしめながら、3人のチームとして動いていっていたんだ。
その姿は、きちんと子どもたちへとつながっていると感じたよ。
お疲れさまでした。そして、貴重な経験の場を共有できて良かった。ありがとう。
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